ファイルサーバからBoxへの移行には複数の移行方法があり、様々な注意事項があります。また大規模移行や小規模移行によっても移行方法をどれを選択するかと注意事項が変わってきます。そういったナレッジを本記事で共有いたします。
この記事を読んでいただくことで以下メリットがあります。是非Boxを利用している方、利用検討している方はご参考にしていただければと思います。
- ファイルサーバからBoxへの複数移行方法とそのメリットデメリットを知れる
- 複数のBox移行の注意事項と回避策を知れる
ファイルサーバからBoxへの複数移行方法の概要
Boxの移行は移行容量に応じて複数の方法があります。以下のように複数の移行方法があります。
今回は大きな移行容量を持っている企業で移行する上で検討対象になる「BoxDriveでの移行」「外部Box移行ツールでの移行」の違いをお話します。
1~10 GB | 10~100 GB | 100 GB~ |
Box Webでのアップロード | FTPS | Box Shuttle |
Box Drive | Box Drive | 外部Box移行ツール |
今回ご説明しない「Box Webでのアップロード」「FTPS」「Box Shuttle」に関してはBox自身が詳細を出していますので以下をご確認ください。
Box Webでのアップロード | https://support.box.com/hc/ja/articles/360044196633 |
FTPS | https://support.box.com/hc/ja/articles/360043697414 |
Box Shuttle | https://support.box.com/hc/ja/articles/4408651058067 |
Boxへの移行方法についての詳細
Box Driveでの移行
Box DriveはBox社が提供するツールになっていまして、説明は以下の通りです。
- Box Drive
WindowsのExplorerやMacのFinderと同じUIで容量無制限のBoxへアクセスし操作することができるクラウドドライブです。利⽤できるBox機能には制限があります
https://www.box.com/ja-jp/drive
BoxDriveでの移行はBoxDriveをインストールしたPC上からファイルサーバのフォルダからBoxDriveのフォルダへドラッグ&ドロップで移行することが可能です。無償で実施可能で、特別な知識も必要なく簡単な作業で移行が可能です。
またBoxDriveについては以下記事にてまとめてますのでそちらも参考にしてください。
外部Box移行ツールでの移行
外部Box移行ツールでの移行は外部有償のツールをファイルサーバと通信ができる環境のサーバ上に構築を行って移行します。
サーバや移行ツールの構築、設定が必要なことと有償になってしまいますが、大規模移行や高速な移行が可能であったり、移行時のエラー対処等が楽になります。
私が知っている外部Box移行ツールとしてはNEC社製品の「NEC Information Assessment System(NIAS)」、Jungle社製品の「Data Migration Box(DMB)」があります。
NIASに関しては元々ファイルサーバを可視化して権限や容量の見える化が可能なツールでそこにBox移行の機能が追加された製品になっています。
Jungle社製品はファイルサーバからBoxへのデータ移行に特化した製品になっています。
それぞれの製品サイトは以下です。
NEC Information Assessment System(NIAS) | https://jpn.nec.com/nias/index.html |
Data Migration Box(DMB) | https://www.junglejapan.com/dmb/ |
今回は私が実際に利用していたNEC社製品のNIASを外部Box移行ツールとして考えて記事を記載しています。
ファイルサーバからBoxへの複数移行方法のメリット・デメリット
Boxへの移行方法の比較
「BoxDriveでの移行」「外部Box移行ツールでの移行」での移行方法についての比較については以下になります。
移行方法 | 環境 | 移行可能容量 | 移行方法 | 費用 | 移行開始までの手間 | 移行に関する便利機能 |
Box Drive | PC上 | 小規模 | “ドラッグ&ドロップ”する (また移行元データを移行先 に”コピー&ペースト”し、移行 元のデータを削除) | 無償 | ほぼ無し (ツールインストールのみ) | 少ない |
外部Box移行ツール(NIAS) | サーバ上 | 小規模~大規模 | 移行元と移行先のフォルダパス、スケジュール、アクセス権をNIASで設定してデータを読み取り、データコ ピー | 有償 | ライセンス手配~サーバ準備、構築 | 多い |
「BoxDriveでの移行」では無償で移行可能で、小規模であればこちらで移行することをお勧めします。ただデメリットとして以下があげられます。
- 移行エラーが出た際にツール上で表示はされるが、エクスポート等ができないため、大量に発生すると管理できない
- PC上のツールで移行するため、コピー時にPC上のストレージ容量を消費するので容量が極端に空いてないPC上だと少しずつしか移行できない
- Boxアカウント1アカウントでのコピーになるのであまり速度が出ない。[Boxは1アカウント毎に1秒で何ファイル上げれるかの制限があります]
「外部Box移行ツールでの移行」では有償になりますが、小規模~大規模については豊富な機能で移行が可能です。こちらに関してはデメリットは費用と構築等の手間の部分なのでメリットを以下にあげたいと思います。
- サーバー上で実行するので、大規模な容量のコピーが可能
- 移行エラーを一覧でエクスポートで確認が可能。またコピー完了後に移行検証(ベリファイ)が可能、移行元(ファイルサーバ)と移行先(Box)でどのファイル・フォルダに差異があるのかを把握することができます
- スケジュール設定が可能なので、夜間だけ動かしたりという自由なスケジュールで移行可能
- データ移行の際に事前にアクセス権限のマッピング[ファイルサーバ、Box側のアカウント紐づけ]をしておくとアクセス権限をそのまま移行することも可能
- Boxのアカウントを複数利用してコピーすることが可能なので、高速な移行が可能。[Boxは1アカウント毎に1秒で何ファイル上げれるかの制限があります]
ファイルサーバからBoxへの複数移行方法の注意事項・回避策
Box Driveでの移行
移行エラーが出た際にツール上で表示はされるが、エクスポート等ができないため、大量に発生すると管理できない
Box Driveではエラー確認はBox Driveのツール上で〇個のエラーが出ましたと表示されますが、エクスポートできないため大量に表示されると対処がしきれなくなります。
Box Driveでのエラー確認方法は以下記事をご確認ください。
PC上のツールで移行するため、コピー時にPC上のストレージ容量を消費するので容量が極端に空いてないPC上だと少しずつしか移行できない
Box自体は容量無制限なのでBox Driveでも一気にコピーできると感じますが、こちらは間違いです。コピー時にキャッシュを持つので容量が少ないPCですとそれに応じてアップロードを少しずつする必要があります。またコピーを複数回実施する場合は前回分のコピーしたキャッシュが蓄積されるのでここも対処が必要になります。
まずBox Driveの動作に関する推奨値(1回のアップロード上限値)は、インストール先ドライブの空き容量の1/3です。30GB空いているPC上でコピーする場合は10GBずつコピーすることが推奨されています。
また数回コピーしているとキャッシュが蓄積されいくのでこちらも以下記事に記載のあるキャッシュの削除を行う必要があります。
一部のファイル形式はBox Driveで移行ができない
Box Driveでは一部のファイル形式[PSTファイル等]はBox Driveでブロックされるため移行できません。対象については以下Boxサイトをご確認ください。
Box SyncとBox Driveで無視またはブロックされるファイルの種類 – Box Support
外部Box移行ツールでの移行(NIAS)
容量や影響を考えてコピーの回数(差分コピー含む)、移行検証(ベリファイ)の回数を考えて移行する必要がある
容量や影響を考えてコピーの回数(差分コピー含む)、移行検証(ベリファイ)の回数を考えて移行する必要があります。
こちらはNIASというツールではBoxへのコピーをする際は差分コピーをすることなども可能なので色々な移行パターンが可能です。
例えば容量がそこまでなければ土日に1度コピーして移行検証(ベリファイ)して完了や容量が大きければ事前に一度コピーしておいて差分をコピーしてどこかで切り替える等です。
また他にも検討事項としてはNIASではBoxへのコピーのみで移動はできないのでBox利用へ切り替える際はファイルサーバ側の権限をはく奪する等の対応も必要になります。
大規模容量をBoxへ移行する際はファイル数に応じてサーバ数やBoxアカウント数を変えないとスループットが出ない
大規模容量をBoxへ移行する際はファイル数に応じてサーバ数やBoxアカウント数を変えないとスループットが出ない可能性がありますので注意してください。
こちらはファイル数が多い場合はサーバを複数台用意する必要があったりすることを認識しておきましょう。推奨値等は製品側であるのでそちらを確認してください。
またBoxアカウント数についてはNIASの場合は1Boxアカウントで1秒間で4スレッド(4ファイル)処理できるみたいな制限があるので移行用のBoxアカウントは複数必要になります。こういった部分を各環境でチューニングや試験を行ってからどれくらい移行できるかの確認が必要になります。
既存Boxフォルダへ大規模容量を移行する際は移行先Boxにアクセス権がある人は移行中Box DriveからサインアウトしないとPCに大量にログが出てPCが重くなります
既存Boxフォルダへ大規模容量を移行する際は移行先Boxにアクセス権がある人は移行中Box DriveからサインアウトしないとPCに大量にログが出てPCが重くなります。
こちらはBox Driveがコピー等された際に対象フォルダにアクセス権がある方は大量にログが出る仕組みになっているためです。仮に100万ファイル移行したら100万行各PCのBox Driveでログが出ることになります。
対策としてはNIAS移行実施時は各ユーザーがBox Driveからログアウトすることになります。もしくは移行中はBox側の権限を削除しておくことを推奨します。
まとめ
ファイルサーバからBoxへの移行方法は複数あり、移行は結構大変なことが多いと思いますが、少しでも本記事が参考になればと思います。
Boxはクラウドサービスとしてのメリットはもちろんのこと社外との共同作業、場所を問わない働き方、コンテンツにかかわるワークフローや電子サイン、様々なクラウドサービスとの連携による業務効率化といった働き方を一つのプラットフォームで提供するツールだと思います。
移行を実施しないとメリットを享受できないことと無駄な費用がかかってしまうので移行を大変ですが、進めていくことを推奨します。
またファイルサーバーとBoxに関する記事は以下も記載しておりますので参考にしてください。